PCOS患者の不妊問題、腸内細菌の異常と関連か?

PCOS患者の不妊問題、腸内細菌の異常と関連か?

ネオ東京の医療研究所で衝撃的な発見があった。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)に悩む女性たちの腸内環境に、生殖機能に影響を与える異常が確認されたのだ。この発見は、不妊治療の新たな道を開く可能性を秘めている。

腸内細菌と子宮内膜の驚くべき関係

中国・浙江大学の研究チームが220人の女性を対象に実施した調査で、PCOS患者の腸内には「Parabacteroides merdae」という細菌が健康な女性の約半分しか存在しないことが判明した。この細菌は、アミノ酸の一種であるイソロイシンを、生殖健康に重要な短鎖脂肪酸に変換する役割を担っている。

研究データは衝撃的だった。PCOS患者の血液中には、イソロイシンが39%も多く、短鎖脂肪酸は10%少なかった。さらに、子宮内膜組織でも異常に高いイソロイシンレベルが確認された。実験室で子宮内膜細胞をイソロイシンに曝露すると、細胞老化のマーカーが増加し、妊娠準備に必要な細胞プロセスが阻害されることが明らかになった。

若年層でも進む「子宮の老化」現象

「これらの発見は、子宮に老化に似た変化が起きていることを示しています」と研究リーダーのAixia Liu氏は語る。35歳未満の若い女性でも、腸内細菌のバランス異常が子宮内膜の健康を損ない、流産や早産、妊娠糖尿病のリスクを倍増させている可能性があるという。

しかし、ニューヨーク・マウントサイナイ医科大学のAndrea Dunaif教授は慎重な見解を示す。「PCOS患者の生殖機能は30代で改善する傾向があるため、子宮内膜の変化が本当に妊娠転帰に影響を与えているのか、さらなる検証が必要です」

新たな治療法の可能性

それでも、この発見はPCOS治療に新たな光を投げかける。腸内細菌叢はプロバイオティクスで調整可能なターゲットだ。「PCOSに対する具体的な治療法がほとんどない現状で、これは有望なアプローチです」とDunaif教授は評価する。

ネオ東京のバイオラボでは、すでに腸内環境を最適化する次世代プロバイオティクスの開発が始まっている。この研究が、不妊に悩む無数の女性たちに希望をもたらす日が来るかもしれない。