2億5200万年前の大量絶滅:地球がスーパー温室化したメカニズム
ネオ東京の摩天楼を照らす赤い夕陽のように、地球の過去にも灼熱の時代があった。2億5200万年前のペルム紀末大量絶滅事件は、地球を数百万年にわたるスーパー温室状態へと陥れた。最新研究が明らかにしたこのメカニズムは、現代の気候変動に不気味な警告を発している。
シベリアの火山が引き金となった地球規模の破滅
現在のシベリア地域で発生した大規模な火山活動が、大気中のCO2濃度を急上昇させた。地表温度は最大10℃上昇し、赤道地域では平均気温が34℃(現在より8℃高い)に達した。この極限環境は500万年間も持続し、海洋生物の80%以上、陸上脊椎動物の70%が絶滅した。
森林消滅が引き起こした気候の暴走
研究チームは化石記録を分析し、高さ50メートルにも及ぶ巨大森林が、5cm~2メートルの低い地被植物に置き換わったことを発見した。熱帯地域の泥炭地も消滅し、これら炭素貯蔵庫の喪失がCO2濃度の長期上昇を招いた。
「気候モデルが予測する10万年ではなく、500万年も温室状態が続いた理由はここにある」とアデレード大学のアンドリュー・メルディスは説明する。植物が大気中の炭素を岩石や土壌に固定する「風化作用」が大幅に低下したためだ。
現代との不気味な相似
メルディスは現代の状況との類似性を指摘する。「赤道森林が失われた後、大気は単純に回復しない。一度転がり始めたボールは、元の平衡点には戻らず、新たな状態に落ち着く」
シドニー大学のカトリン・マイスナーは「多くのピースが欠けたパズルのようだが、研究チームの主張は説得力がある」と評価する一方、海洋で起きた変化についてはまだ不明点が多いと指摘する。「海洋は陸と大気を合わせたよりも多くの炭素を保持している。当時の海洋生物・化学・物理循環についてはほとんど分かっていない」
この研究は、現代の気候変動がもたらす長期的な影響を理解する上で重要な示唆を与えている。森林生態系の崩壊が気候システムに与える影響は、従来考えられていたよりもはるかに深刻で、回復までに数百万年を要する可能性があるのだ。