旧ソ連の金星探査機「コスモス482」が地球に落下予定 – 落下地点は不明

1972年に打ち上げられた旧ソ連の宇宙探査機「コスモス482」が、2025年5月9日または10日に地球に落下すると予測されています。この探査機は金星着陸を目的としていましたが、地球低軌道で故障し、そのまま地球を周回し続けていました。

50年以上にわたる地球周回の末

コスモス482は金星探査ミッションの一環として打ち上げられましたが、打ち上げ直後に4つに分解。そのうち3つの破片はすぐにニュージーランドに落下しましたが、最後の1つ(着陸カプセルと推定)は高度210kmから9,800kmの楕円軌道で地球を周回し続けていました。地球大気の最上層との摩擦によって徐々に減速し、ついに落下段階に入ったのです。

頑丈な構造が危険性を高める

残っている破片は直径1メートル以上、質量約500kgと推定されています。金星の過酷な大気突入に耐えるように設計されていたため、地球大気圏再突入時にも完全な形で残る可能性が高く、時速200km以上の速度で地表に激突すると見られています。

落下地点は北緯52度から南緯52度の広範囲

現在の軌道から判断すると、落下地点は北緯52度から南緯52度の間のどこかになる見込みです。これは南アメリカの最南端からカナダ・ロシアの一部までを含む広大な範囲です。ただし、コロラド大学ボルダー校のマルチン・ピリンスキ氏によれば、「居住地域に落下する確率は極めて低く、ほぼ確実に海に落下する」とのことです。

宇宙ゴミ問題の一例

NASAの追跡データによれば、軌道上の物体が地球に落下するのは1日1個程度と珍しいことではありません。しかしコスモス482は特に大きく頑丈な部類の宇宙ゴミです。専門家チームが落下の経過を注意深く監視しています。

この事例は、冷戦時代の宇宙開発競争の遺物が今も地球に影響を与え続けていることを示すと同時に、増え続ける宇宙ゴミ問題の重要性を改めて浮き彫りにしています。