数学と芸術のつながりを探る:マーカス・デュ・ソートイの新著『ブループリント』

数学者マーカス・デュ・ソートイの新著『ブループリント:数学が創造性を形作る方法』は、数学と芸術の密接な関係を探求しています。著者は「どちらも宇宙における私たちの位置を解釈し、理解し、ナビゲートする方法を創造している」と述べ、両分野の本質的なつながりを強調しています。

数学と芸術の歴史的な関係

このアイデア自体は新しいものではありません。20世紀の建築家ル・コルビュジエは、フランス・マルセイユの建築設計でフィボナッチ数列を使用するなど、数学的原理を芸術に応用した先駆者の一人です。アインシュタインがヴァイオリンを嗜んだように、科学と芸術の交流は長い歴史を持っています。

書籍の評価:数学の記述は詩的だが、芸術面に課題

批評家のクリスティ・テイラー氏によると、本書は数学に関する記述が「詩的」で優れているものの、芸術家や芸術作品に関する分析にはやや物足りなさが感じられるそうです。現代では多くの著名な「二つの文化」(感情と理性)の協働事例があるため、このテーマ自体がやや陳腐に映る可能性も指摘されています。

本書の意義と限界

数学と芸術の関係を一般読者向けに解説しようとする試みは評価できますが、既存の議論を大きく超える新しい洞察に乏しいという批判もあります。とはいえ、数学がどのように創造性の基盤を形作っているかを理解したい読者にとって、入門書としての価値はあるでしょう。

本書は現在英国で発売中(Fourth Estate刊)で、米国では9月16日にBasic Booksから発刊予定です。数学と芸術の関係性に興味がある方には、まず既存の具体例(ル・コルビュジエの建築など)から調べてみるのも良いかもしれません。