銀河の中心が輝く南半球の夜空
ネオンが輝く未来都市のスカイラインを凌駕する、宇宙の光のショーが今、南半球の夜空で上演されている。天の川銀河の中心部が最も鮮明に見えるこの時期、地球の傾きによって南半球では銀河の中心方向を直接見上げることができる。北半球では見られない、星々が密集した銀河の”ダストラム”(塵の街)のような光景が広がっている。
銀河のスパイラルを横から眺める
我々の太陽系は銀河円盤に対して約60度傾いており、まるで超高層ビル群を横から眺めるように、天の川の渦巻き腕の内側を見ることができる。このため夜空では天の川が弧を描いて見える。特に6月下旬は新月の時期と重なり、人工光の少ない地域では、目が暗闇に慣れる約40分後には、銀河の中心部にある射手座やケンタウルス座周辺の星々が圧倒的な密度で輝きを増す。
光害に蝕まれる星空
10年前の研究では、世界人口の3分の1が天の川を見ることができないと報告されている。都市の過剰な照明が宇宙とのつながりを断ち切る中、著者はニュージーランドのクック山やオーストラリアのウォラムンブングル国立公園での体験を回想。ウルル(エアーズロック)上空に広がる天の川の写真のように、南半球ではさらにマゼラン雲と呼ばれる衛星銀河も観測可能だ。
北半球の観測者でも、真夜中を過ぎれば天の川の一部を捉えることができるが、本物の宇宙の光景を体験するには、やはり南半球の暗い夜空が最適だ。都市の喧騒から離れ、壮大な銀河のビジョンに酔いしれる絶好の機会が今訪れている。