どんな形でも公平なサイコロを作れる技術が開発される
ネオ東京の暗がりで、サイコロを転がす音が響く。だがその形は、ドラゴンや子猫、アルマジロ…。SFのような光景が現実となった。研究者たちが、あらゆる形状を公平なサイコロに変える技術を開発したのだ。
確率分布を制御する新技術
カーネギーメロン大学のキーナン・クレーン氏らのチームは、物体の形状から静止確率を計算する手法を確立した。「物体を見たとき、それがどのような確率でどの向きに止まるか予測できるか」という問いから始まった研究だ。
従来の立方体のサイコロは、各面が均等な確率で出るように設計されている。しかし、複雑な形状の場合、どの面が上を向く確率が高いか予測するのは困難だった。新技術では3Dモデリングと物理シミュレーションを組み合わせ、任意の形状に対して公平な確率分布を実現する。
ゲームの未来を変える可能性
この技術がもたらす影響は計り知れない。テーブルトークRPGの世界では、プレイヤーが好みのミニチュアをそのままサイコロとして使えるようになる。教育現場では、複雑な確率概念を視覚的に理解する教材として活用可能だ。
「ドラゴンの形をした20面ダイスや、宇宙船の形をした6面ダイスが作れる」とクレーン氏は語る。研究チームは既に、動物から幾何学模様まで様々な形状の公平なサイコロを試作している。
サイコロの新時代到来
この技術は単なるゲームの道具を超えた意味を持つ。確率分布を精密に制御できるようになることで、確率に依存する様々な分野(暗号学、統計モデリング、金融工学など)への応用が期待されている。
ネオ東京のサイバーカフェで、若者たちが奇妙な形のサイコロを転がす日も近いかもしれない。形に縛られない確率の制御技術は、私たちの確率への理解を根本から変えようとしている。