9ヶ月児でも他者の痛みに反応

最新の研究によると、生後9ヶ月から18ヶ月の赤ちゃんが、言葉を話す前から共感を示すことが確認されました。大人が痛みを表現すると、この年齢の子どもたちが慰めようとする行動が見られたのです。この発見は、人間の共感能力がこれまで考えられていたよりも早い時期から発達することを示唆しています。

文化を超えた普遍的な能力

研究は異なる文化的背景を持つ赤ちゃんを対象に行われ、共感の初期兆候が文化に関係なく現れることが明らかになりました。研究チームのCarlo Vreden氏は「他者の感情を理解し、それに対応する能力は、人間のコミュニケーションにおいて本質的に重要なスキルです」と説明しています。

共感発達の新たな知見

これまで、子どもの共感能力がどのように発達するかについては、限られた地域のデータしかありませんでした。今回の研究は、人間の社会的スキルの根源的な発達プロセスを理解する上で重要な一歩となります。特に、言語獲得以前の段階で既に共感の基礎が形成されているという発見は、人間の社会性の進化的起源を探る手がかりにもなります。

研究の意義と今後の展望

この研究結果は、早期の社会的相互作用が子どもの発達に与える影響を再考するきっかけとなります。また、自閉症スペクトラムなどの発達障害の早期兆候を検出するための新たな指標開発にも役立つ可能性があります。研究者たちは今後、より大規模な国際共同研究を通じて、共感能力の発達における文化差や普遍性をさらに詳しく調べる予定です。