閃光が照らす南部の空
2025年6月26日、アメリカ南東部の空を炎の尾を引く物体が駆け抜けた。アラバマ州からテネシー州にかけて、少なくとも142件の目撃報告が寄せられたこの現象は、大気圏突入時に爆発した流星「ボライド火球」の可能性が高い。
ダッシュカムが捉えた一瞬の閃光
サウスカロライナ州の高速道路を走行中の車載カメラが、森林地帯へ消えていく火の玉を鮮明に捉えた。別のドライバーがコロンビア南西部で撮影した映像にも、空から落下する光の軌跡が記録されている。国立気象局の衛星データによれば、この物体は東部標準時11時51分から56分の間にノースカロライナ州とバージニア州の境界上空を通過した。
大気圏で散りゆく宇宙の使者
アメリカ流星協会のマイク・ハンキー氏は、この現象について「ボライド火球と呼ばれる、特に明るい流星が大気圏で爆発・分裂する現象だろう」と解説。現在、主要な流星群の活動期ではないことから、単発の流星である可能性が高いという。
現地消防局は「空から火の玉が落ちてきた」との通報に対応したが、午後早い段階では地上での残骸は確認されていない。来月から始まるみずがめ座δ流星群に先立つ、宇宙からの予期せぬ贈り物だった。
都市伝説を超える現実
超高層ビルが林立する近未来都市の空を、一瞬の閃光が切り裂く。サイバーパンク的な光景を想起させるこの事象は、私たちが住むこの星が、常に宇宙からの影響を受けていることを思い起こさせる。次なる天体ショーは、7月のみずがめ座δ流星群が待っている。