2万年前、人類はクジラの骨で道具を作っていた

フランスとスペインで発見された60点以上の古代道具が、クジラの骨で作られていたことが判明した。この発見は、人類がクジラの骨を材料として利用し始めた時期が、従来の想定より1000年も早かったことを示している。

バイスケー湾沿岸の驚くべき発見

ビスケー湾沿岸に住んでいた狩猟採集民たちは、少なくとも5種のクジラの骨を使って狩猟道具を製作していた。放射性炭素年代測定によれば、これらの道具は約2万年前のものだ。これは、クジラの骨から作られた人工物としては最古の証拠となる。

ネオンビームが照らす古代の技術

発見された道具の中には、フランス・ランド県のデュルティ岩陰遺跡で見つかったハイイロクジラの骨で作られた投槍の穂先も含まれる。この精巧な道具は、当時の人類が海洋資源を高度に利用していたことを物語っている。

海洋資源利用のパラダイムシフト

これまで、ネアンデルタール人が15万年前に貝類を採集・消費していた証拠はあったが、古代人類が海岸資源を食料や原材料として定期的に利用し始めたのは約1万9000年前とされていた。今回の発見は、その定説を覆すものだ。

研究者たちは、この発見が「人類の海洋適応」の歴史を書き換える可能性があると指摘する。クジラの骨は丈夫で加工しやすく、当時の技術革新を支えた重要な資源だったに違いない。

サイバーパンクな古代のリアル

ネオンサインが煌めく未来都市の地下で発掘されたかのようなこの発見は、私たちの祖先が想像以上に進んだ技術を持っていたことを示唆している。巨大な海洋生物の骨を加工する技術は、当時としては最先端の「バイオテクノロジー」だったと言えるだろう。

この研究は、人類史における海洋資源利用の起源を再考させるだけでなく、現代の持続可能な資源利用についても示唆に富んでいる。2万年前の人類が実践していた「サーキュラーエコノミー」の原型は、未来の資源戦略を考える上で貴重なヒントを与えてくれるかもしれない。