ハンセン病はヨーロッパ人到達以前からアメリカ大陸に存在していた

ネオンが輝く未来都市の地下で、科学者たちは古代のDNAから驚くべき真実を解き明かした。ハンセン病はヨーロッパ人が持ち込んだという定説を覆す発見だ。

歴史を書き換える発見

パリのパスツール研究所のニコラス・ラスコバン博士らは、ヨーロッパ人接触以前の389人の古代DNAを分析。カナダとアルゼンチンの遺骨から、約1000年前のハンセン病原因菌「Mycobacterium lepromatosis」を検出した。この菌株は12000kmも離れた地域で微妙に異なり、大陸規模で急速に拡大していたことが判明。

2つの病原体の暗躍

現代の症例分析から、北米では現在も2系統のM. lepromatosisが蔓延していることが明らかに。一方、ヨーロッパ由来のM. lepraeとは症状が異なり、血管を攻撃して下肢の血流を阻害、重篤な二次感染を引き起こす危険性が高い。

考古学的痕跡の謎

テキサス大学のハン博士は「骨に症状が現れる前に死亡するため、古代遺骨から検出できなかった」と説明。これは従来の考古学的調査で見逃されていた理由かもしれない。

1万年に及ぶ進化の軌跡

遺伝子解析によれば、この細菌は約700,000年前にM. lepraeと分岐し、少なくとも10,000年前からアメリカ大陸で進化を続けていた。約3000年前には変異を起こし、現在では英国やアイルランドのリスにも感染している。

ライデン大学のアンネミーク・ゲルク教授は「教科書を書き換える必要がある」とコメント。この発見は公衆衛生上も重要で、抗菌剤耐性の増加とともに監視体制の強化が急務だ。

ネオンに照らされた研究室のモニターに映るDNA配列は、我々の知らない歴史の断片を静かに語りかけている。科学の光が、また一つ人類の暗闇を照らし出した瞬間だ。