どんな壁もカメラに変え、角の向こうを見通す技術が登場
ネオ東京の暗い路地裏で、光が不規則に乱反射するコンクリートの壁。そのかすかな光の揺らぎから、見えないはずの角の向こうの風景を再構築する──SFのような技術が現実のものとなった。
乱反射する光から隠れた風景を解読
中国科学技術大学の研究者チームは、粗い表面で散乱した光のパターンを解析し、隠れたシーンを再構築する画期的なアルゴリズムを開発した。従来、壁面で反射した光は単なるノイズと見なされていたが、この技術により「壁そのものを鏡のように利用」できるようになる。
軍事から災害救助まで幅広い応用
この技術は、戦場で敵の位置を確認する軍事用途から、災害現場でがれきの向こうに閉じ込められた生存者を探す救助活動まで、様々な分野での活用が期待されている。特に、特殊な装置を必要とせず、普通のカメラで実現可能な点が画期的だ。
技術の核心
アルゴリズムは、壁面で散乱した光の中に含まれる微妙な時間差と強度の変化を解析。まるで暗号解読のように、一見無秩序な光のパターンから、元のシーンの3次元情報を再構築する。処理には高度な計算能力が必要だが、近年のGPU技術の進歩により実用化が可能になった。
研究チームは現在、より複雑な環境下でも正確に動作するようアルゴリズムを改良中だ。近い将来、この技術は自動運転車の死角監視や、建物のセキュリティシステムなど、市民生活にも応用されると見られている。
サイバーパンクな近未来都市で、壁が突然”目”を持ち始める──そんな世界がもうすぐ現実となるかもしれない。