木材由来の接着剤がホットグルーガンで使用可能に

木材由来の接着剤がホットグルーガンで使用可能に

ネオ東京の実験室で、未来の接着技術が生まれた。中国・北京林業大学の呂子文氏らは、植物細胞壁に含まれるキシランという成分から、環境に優しい革命的な接着剤を開発した。これは従来の石油系接着剤に代わる、再利用可能な新素材だ。

自然の力で生まれた新接着剤

キシランは植物の細胞壁を構成する成分で、セルロースを結びつける役割を持つ。研究チームはこの物質を化学的に改変し、ダイアルコールキシランへと変換。通常のホットグルーガンで使用可能な接着剤を作り出した。

驚異の接着力と再利用性

この接着剤の最大の特徴は、30メガパスカルという驚異的な接着強度だ。これはエポキシ樹脂を含む従来の接着剤を凌駕する数値である。さらに10回の再加熱・再利用後も、元の接着力を維持できるという。

合板製造での可能性

研究チームはクルミ材の薄板3枚をこの接着剤で貼り合わせた合板を作製。フェノール・ホルムアルデヒド樹脂接着剤を使用した合板と同等の性能を確認した。これは建築業界に革新をもたらす可能性を秘めている。

課題と今後の展望

しかし、この接着剤には重大な弱点があった。1時間水に浸すと接着剤が溶解し、層が剥離してしまう。耐水性の向上が今後の課題だ。それでも、パデュー大学のジョナサン・ウィルカー氏は「特に木材基板に対する接着性能は顕著」と評価している。

エセックス大学のニック・オルドレッド氏は「合板産業で大規模に展開できれば、革命的な変化をもたらすだろう」と期待を寄せる。現在も合板に使用されているフェノールやホルムアルデヒドは、化粧品ではすでに使用禁止となっている物質だ。

この研究は、持続可能な社会実現に向けた重要な一歩と言える。ネオ東京の摩天楼も、いつかこの自然由来の接着剤で建てられる日が来るかもしれない。