顕微鏡レベルの競争が次世代スポーツになる日

顕微鏡レベルの競争が次世代スポーツになる日

ネオ東京の闇で蠢く新たなエンターテインメントが誕生しようとしている。精子レースという名の、ミクロの世界を舞台にした競技だ。カリフォルニアの若き起業家たちが考案したこの”スポーツ”は、男性不妊問題に光を当てるという大義名分のもと、最先端技術を駆使して生み出された。

CGIで彩られたミクロの競技場

彼らが開発したのは「生殖システムを模した顕微鏡レーストラック」。高解像度カメラが精子の一挙手一足を追跡し、ライブ配信すると謳っていた。しかし現実は違った。実際のレースは別室で行われ、観客向けの映像は全てコンピュータ生成だったのだ。顕微鏡技術では、動き回る精子を追跡するのは不可能に近い。

エンターテインメントとしての可能性

プロレスやサッカーと同様、完全なフェイクであっても、人々はエンターテインメントとして熱狂するかもしれない。ネオ東京の地下社会では、こうした新たな”スポーツ”が次々と生まれ、消えていく。精子レースがその一つになる日も近いだろう。

水を基盤とした新たな食文化

一方、食の世界でも奇妙なトレンドが進行中だ。「水ベース調理法」と名付けられたこの手法は、揚げ物や焼き物を避け、茹でる・蒸すといった調理法を推奨する。AGEs(終末糖化産物)の摂取を減らし、健康増進に役立つと主張されている。

インスタグラムで19万人以上のフォロワーを持つ栄養学者ミシェル・ダベンポートが提唱するこの方法は、一部の熱心な信者から「肌がきれいになり、胃腸の調子が良くなり、病気から一夜で回復する」と絶賛されている。しかし冷静に見れば、これは単に「スープを作っている」に過ぎないのかもしれない。

「当然の結果」を証明する研究

科学の世界では、誰もが予想できる結果を大げさに研究した例も少なくない。NFL選手が休息期間が短いほど膝を負傷しやすいこと、ピザが箸を使う食事より早く食べられること…。ネオ東京の研究所では、こうした自明の理を証明するために莫大な予算が費やされている。

高度に発展した社会において、人々はますます現実と虚構の境界を見失いつつある。精子レースに代表されるような新たなエンターテインメントが、私たちの未来を形作っていくのかもしれない。