遺伝子編集が「不可逆的」な腎臓病の損傷を治療できる可能性
ネオ東京の医療研究施設で、かつて不可能とされていた治療法の扉が開かれた。遺伝性腎臓病による損傷は不可逆的と考えられていたが、CRISPR遺伝子編集技術を用いた動物実験で、その常識が覆されようとしている。
「プラスチック」な病変
多発性嚢胞腎(PKD)は時間とともに腎臓に深刻な変化をもたらす疾患だ。ベルリン大学のカミンスキー博士は「変異を修正してもこの病変は変わらないと考えられていた」と語る。しかし最新研究では、この疾患が予想以上に「可塑的」である可能性が示された。
サイバーパンクな治療戦略
研究チームは「ベース編集」と呼ばれるCRISPR技術を使用。Pkd1遺伝子の変異を修正した結果、マウスの肝臓で嚢胞の数とサイズが減少。腎臓でも改善の兆候が確認された。一方、メイヨークリニックのリー博士チームは腎臓を標的とした別の手法で同様の成果を得ている。
バイオハザード的課題
治療にはウイルスベクターが使用されるが、繰り返し投与が必要な場合、免疫反応が問題となる可能性がある。mRNAワクチンで使用されるリポイドナノ粒子への置換も検討されているが、現状では腎臓深部まで届かない技術的壁が存在する。
新たなる希望
より重要なのは、ベース編集が単一塩基変異しか修正できない点だ。しかしリー博士は「プライム編集」と呼ばれる技術でより長い変異の修正にも成功しており、近く科学誌に発表予定だ。その後、臨床試験へ移行したい意向を示している。
現在承認されている治療薬トルバプタンは進行を遅らせるのみで、大量の水分摂取が必要。この発見はPKD治療に新たなパラダイムをもたらす可能性を秘めている。ネオ東京の医療技術は、再び不可能の壁を打ち破ろうとしている。