マイクロプラスチックが脳に与える影響:最新研究が明らかにしつつあること

最新の研究によると、平均的な人間の脳には約7グラムのプラスチックが含まれていることがわかっています。しかし、これが私たちにどのような影響を与えるかはまだ明確ではありません。動物実験を通じて、マイクロプラスチックが認知機能の低下や異常行動と関連している可能性が示され始めています。

動物に見られる驚くべき影響

ヤドカリの実験では、マイクロプラスチックを摂取した個体は、本来なら簡単に判断できる貝殻の選択に困難を示しました。これは生存に重要な決定能力が損なわれたことを示唆しています。同様に、マウスでは記憶力の低下や社会性の減少、ミツバチでは学習障害、ゼブラフィッシュでは不安行動の増加が観察されています。

人間への影響は?

マイクロプラスチックは北極の雪からアマゾンの熱帯雨林まで、地球上のあらゆる場所に存在しています。さらに深刻なのは、ビールや食塩、海産物、はちみつなど、私たちの食品にも含まれていることです。エクセター大学の生態毒性学者タマラ・ガロウェイ氏によると、プラスチックボトルの蓋を開けるだけでも、微小なプラスチック片が水中に放出されるといいます。

人間は年間約52,000個のマイクロプラスチック粒子を摂取しており、吸入分を含めると約121,000個にのぼります。さらに最近の研究では、これらの一部が血液脳関門を通過し、脳組織に到達する可能性が示されています。

人間への影響解明の難しさ

人間の脳への具体的な影響を解明するのは困難です。動物実験のような直接的な研究が倫理的に行えないためです。しかしガロウェイ氏は、人間への影響も深刻である可能性が高いと指摘しています。

今後の研究課題

現在、動物実験を通じてマイクロプラスチックが脳に与えるメカニズムの解明が進められています。これらの研究結果は、人間の健康への影響を予測する上で重要な手がかりとなるでしょう。環境中のプラスチック汚染が進む中、この問題に対する科学的理解と対策が急務となっています。